2007年03月31日

パヒューム


とにかくすごい映画です。
映画は映像(視覚)と音(聴覚)で表現されるものです、
「パヒューム」は映画の内容よりも「匂い・臭い」を
映像と音で表現するすごさに感動し、「匂い・臭い」の
意味の深さに衝撃を受けます。

原作「香水 ある人殺しの物語」は世界45ヶ国で1500万部を
売り上げたベストセラー小説です。

類まれな嗅覚を持っている主人公には体臭がありません、
殆どの感情がありません。
18世紀のパリは活気と共に悪臭に満ちています
主人公の青年には匂い(良)と臭い(悪)になんの違いもありません
美味しいもなければ、不味いもなく、
楽しいもなければ、悲しいもありません
愛することもなければ、愛されることもありません
青年の人生には孤独すらもなく匂いが全てなのです

しかしある日、偶然出会った若い女性の香りにはじめて心動き魅了され、
匂いを閉じ込めたい執着心が殺人を繰り返しますが、
殺人にすら悪意も劣悪もなく、全ては「匂い」のため・・・
邪悪がなく無垢だからこその恐怖心が上手く描かれています

「匂い」の意味の深さ・・・匂いって何・・・?
この世に存在する全ての物体には「匂い・臭い」があります
嗅覚は最も原始的で感情・性欲・食欲などの記憶と深い関係で繋がって
いることに気づかされます、でも、主人公の青年には全く体臭がない・・
彼はこの世に存在し、存在しないのです
何百キロ先の匂いを嗅ぎ分けられても、自分自身には体臭がないように
匂いの記憶もありません、ですから感情・性欲・食欲に望むこともないのです
音や光は消せても、匂いは消せない・・・消せない匂いが彼にはない・・
全ての鍵がそこにあるように切なく、哀れに思えてしまう

26人の女性を殺した殺人犯でありながら、彼が殺人犯であることを
忘れてしまう、しかし、残酷で気味悪い映画ですので子供や正統派には
おすすめできない映画です。

そして、ラストシーンは裸の男女の群集が絡みあうのですが、???
な~んか、納得できない結末には説得力が足りないような・・・
ラストシーンに不満が残ってしまったのは残念です・・でも好きな映画です。

「パヒューム」は匂いと記憶を観る映画です。
あっ!それから、映画鑑賞中に、ふわぁ~~とほのかに香水の香りが・・・
最初は気のせいなのかと・・・しかし、それから2度も ふわぁ~~と・・
あれは錯覚ではないようです、映画館の策略ではないかと憶測してますが、
是非、お確かめください。




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Posted by サンタホテル at 12:00 │おすすめシネマ&DVD