とにかくすごい映画です。
映画は映像(視覚)と音(聴覚)で表現されるものです、
「パヒューム」は映画の内容よりも「匂い・臭い」を
映像と音で表現するすごさに感動し、「匂い・臭い」の
意味の深さに衝撃を受けます。
原作「香水 ある人殺しの物語」は世界45ヶ国で1500万部を
売り上げたベストセラー小説です。
類まれな嗅覚を持っている主人公には体臭がありません、
殆どの感情がありません。
18世紀のパリは活気と共に悪臭に満ちています
主人公の青年には匂い(良)と臭い(悪)になんの違いもありません
美味しいもなければ、不味いもなく、
楽しいもなければ、悲しいもありません
愛することもなければ、愛されることもありません
青年の人生には孤独すらもなく匂いが全てなのです
しかしある日、偶然出会った若い女性の香りにはじめて心動き魅了され、
匂いを閉じ込めたい執着心が殺人を繰り返しますが、
殺人にすら悪意も劣悪もなく、全ては「匂い」のため・・・
邪悪がなく無垢だからこその恐怖心が上手く描かれています
「匂い」の意味の深さ・・・匂いって何・・・?
この世に存在する全ての物体には「匂い・臭い」があります
嗅覚は最も原始的で感情・性欲・食欲などの記憶と深い関係で繋がって
いることに気づかされます、でも、主人公の青年には全く体臭がない・・
彼はこの世に存在し、存在しないのです
何百キロ先の匂いを嗅ぎ分けられても、自分自身には体臭がないように
匂いの記憶もありません、ですから感情・性欲・食欲に望むこともないのです
音や光は消せても、匂いは消せない・・・消せない匂いが彼にはない・・
全ての鍵がそこにあるように切なく、哀れに思えてしまう
26人の女性を殺した殺人犯でありながら、彼が殺人犯であることを
忘れてしまう、しかし、残酷で気味悪い映画ですので子供や正統派には
おすすめできない映画です。
そして、ラストシーンは裸の男女の群集が絡みあうのですが、???
な~んか、納得できない結末には説得力が足りないような・・・
ラストシーンに不満が残ってしまったのは残念です・・でも好きな映画です。
「パヒューム」は匂いと記憶を観る映画です。
あっ!それから、映画鑑賞中に、ふわぁ~~とほのかに香水の香りが・・・
最初は気のせいなのかと・・・しかし、それから2度も ふわぁ~~と・・
あれは錯覚ではないようです、映画館の策略ではないかと憶測してますが、
是非、お確かめください。